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在瀋陽日本国総領事館大連出張駐在官事務所所長 川田 勉さん

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在瀋陽日本国総領事館大連出張駐在官事務所の川田勉所長が赴任して間もなく2か月が経とうとしている。川田所長は外務省の中でも一貫して中国関係に携わってきたエキスパート。これまで本庁や中国各地の総領事館などで中国側との関係を築き、日中友好にも力を尽くして来た。

経験と手腕に周囲から期待感 親日的な大連の風土と人に感激 日本の食品や観光PRにも努力

在瀋陽日本国総領事館大連出張駐在官事務所所長川田 勉さん

川田 勉さん

 在瀋陽日本国総領事館大連出張駐在官事務所の川田勉所長が赴任して間もなく2か月が経とうとしている。川田所長は外務省の中でも一貫して中国関係に携わってきたエキスパート。これまで本庁や中国各地の総領事館などで中国側との関係を築き、日中友好にも力を尽くして来た。それだけに日本とかかわり深い大連所長就任は周囲からの期待も大きい。

――川田所長は6月上旬に大連へ赴任されてきました 。まずは大連の印象についてお聞かせください。

 「前任地は上海でしたが、高層ビルが林立する上海に比べ、大連は落ち着いた街との印象を受けました。旧満州時代の伝統的な建物も大切に保存されていますし、街全体に温かみがあります。地元の方々も非常に優しく、感激しました」

――具体的に大連人のどのようなところに優しさを感じられましたか。

 「赴任1週間後にホテル住まいからアパートメントに移りましたが、どうも部屋の中が殺風景に感じられ、アパートメントのスタッフに『植物があれば良いですね』と話したら、植物を売っている市場に連れて行ってくれました。鉢植えを買った後、運搬専門業者のトラックで運んでもらいましたが、『あなたは荷台に乗れ』と言うんです。それで荷台に乗って帰ってきましたが、貴重な体験をさせていただきました。優しさとともに親日的な土地柄であることも実感しました」

――親日的と言えば中国の他の都市と比べていかがでしょうか。

 「中国は香港を含くめて広州、上海に続いて4都市目の勤務地ですが、親日感情の現れのひとつが日本語人材の多さだと思います。大連では大学や専門学校を含めて20〜25万人が日本語を学んでいると言われています。人口比率からみても圧倒的な数字ではないでしょうか。また、政府関係者の中でも日本語を話せる方がとても多いことに驚きました。その点、大連は日本との関係が深いためか、このように語学を通じても日本への理解者が多いと感じています」

――大連にも日本人がたくさん住んでいます。日本人社会についてはいかがでしょうか。

 「大連の日本人は約6500人と言われています。上海や北京などと比べると多くはありませんが、人口密度はかなり高いでしょう。それだけに日本人社会がよく目立つような気がします。大連日本商工会も規模的には上海、北京ほど大規模ではありませんが、非常に良くまとまっているとの印象を受けています。昨年秋から日本人は500人増え、今後も増加傾向にあるようです。それだけに商工会の役割は益々重要になってくると思います」

――その大連日本商工会も懸案を抱えています。総領事館としてはどのようにかかわり合って行くのでしょうか。

 「総領事館と商工会、ジェトロは日本人と日本人社会の代表的な機関であり、従来通り三位一体の連携を深めることが必要です。直面している懸案事項は商工会の法人化と日本人学校の移転問題ですが、みなさんのご努力で前進しているとうかがっています。総領事館としても最大限の支援をさせていただきます。私は広州勤務時代に学校移転にかかわりましたので、大連でもこの経験からアドバイスさせていただけることがあるかと思います」

――総領事館の使命についてはいかがお考えでしょうか。

 「総領事館の役割は在留邦人の生命と財産を守ることにあります。もちろん前提となるのはみなさん自身が危険な情況に近づかないことですが、総領事館自体が開かれた事務所として、みなさんと一緒の目線に立たなければなりません。また、企業支援もそのひとつで、いまは社会保障費や税金問題が持ち上がっています。このうち社会保障費については、日中両国の政府間で2国間協定を締結すべく中国側と調整していると聞いています。税の問題などについても市政府などへの働きかけなど、できる限りサポートして行きたいと思います」

――最後にこれからの大連政府との関係についてお聞かせください。

 「来年は日中国交正常化40周年を迎えますので、可能な限り関係機関と相談して、どのような記念行事ができるのか検討したいと考えています。また、民間企業とも協力して日本の食品や観光などを中国側に広く紹介する機会も積極的につくって行くつもりです。さらに大連市のトップは夏徳仁書記に代わって唐軍書記が就任されましたので、あらゆる機会を通して日本を理解していただく努力をして行きたいと思っています」

【経歴】
川田 勉さん

 1953年10月、栃木県鹿沼市生まれ。1981年に外務省に入省し、在シンガポール大使館副理事官に就任。その後、アジア局中国課事務官、在香港総領事館副領事、在広州総領事館首席領事、財団法人交流協会(東京本部)総務部長、在上海総領事館領事(総務班長)などを務め、今年6月に大連へ赴任した。
【インタビューを終えて】
大連好きの条件満たす環境
 外務省入省以来、一貫して中国畑を歩んで来た中国エキスパート。しかし、東北地方の任地は初めてだけに、街も人も南方とは違った印象を持たれたようだ。とりわけ大連の親日的な土地柄には、言葉の端々から感動した思いが伝わって来た。友好関係にありながらも、時には緊張感高まる日中両国。川田所長もきっと様々な局面を経て来たことだろう。それだけに大連の居心地の良さを実感しているに違いない。
 趣味はゴルフと「恥ずかしいんですけど」と前置きした料理。大連はどちらも恵まれた環境にある。ゴルフは海岸沿いにコースが続くリンクスゴルフ場があり、新鮮な海産物も豊富にある。川田所長がますます大連を好きになる条件はそろっている。

  沈阳日本国领事馆驻大连事务所川田勉所长上任即将两个月,川田所长是外务省中与中国方面往来的专家。到现在为止为本厅和中国各地领事馆等中的促进中国方面的友好关系上做出了很大贡献,作为与日本关系密切的大连事务所的所长,大家对川田先生将有更多的期待。

この投稿は 2011年8月2日 火曜日 11:05 AM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2011-08-02
更新日: 2011-10-10
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