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大連博倫電子有限公司顧問 三上 吉彦さん Mikami Yoshihiko

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「IBM勤務の36年間の経験をとどめておくことと、中国へのご奉仕、という気持ちで出版しました」

 10年間にわたって大連ソフトウェアパークに勤務し、日本のIT企業と大連の橋渡し役を務めて来た三上吉彦さんが、人生の歩みをまとめた「大連の春 IT世界に40年と人生の詩」(光陽出版社)を出版した。自叙伝ながらも〝三上流 大連を楽しく暮らす法〟も描かれている。出版の経緯や狙いなどについてご本人にインタビューした。
【本文】1400
 三上さんご自身の人生を記した「大連の春 IT世界に40年と人生の詩」が最近、発刊されました。なかなかの力作ですね。まずは出版の経緯をお聞かせください。

 家族は妻と娘2人いますが、子どもたちに自伝を残したかったので、10年以上にわたって「私の中国ホームページ」(www.threeweb.ad.jp/logos/china/)に書きだめてきた文章を中心にまとめ、簡単な冊子にして家族やごく親しい友人に読んでいただきました。5年前のことですが、その後、中国の友人から「面白いので出版したらどうですか」との勧めもあって、2年前から出版に向けての編集作業を続けてきました。

 国際派の三上さんらしく、日本語だけでなく、英語や中国も併記されています。2か国語はよく目にしますが、3か国語の出版物は珍しいですね。

 大連には日本語や英語を勉強している中国の方が多いので、読みながら語学の参考書としても利用していただこうと考えたのです。しかし、3か国語の翻訳作業がとても大変でした。中国語への翻訳は中国の友人20人ほどにお願いし、英語文は日本、イギリス、アメリカの友人3人にチェックをお願いしました。特に中国語は大勢のみなさんに協力していただいたので、表現が統一されていなかったり、原文の意味が反映されていなかったり、あとでの確認、修正作業に追われました。こっちを直せば、あっちに問題が出てきて、まるでモグラたたきのようでした。

 しかし、ご苦労されただけに語学を学ぶ人たちの参考になると思います。内容も淡々とした自叙伝でありながら、IBMの勤務時代を通して戦後の日本の経済成長や国際進出などがよくわかり、中国に対する温かな視線も伝わってきます。

 目指したのは、集中処理から端末開発、ミニコンによる分散処理、ソフト開発、PCの登場など、二十世紀後半のIT発展史を、IBMに勤務した36年間の経験を通してとどめておくことでした。もうひとつは、中国へのご奉仕、と言う気持ちです。中国近代史は日本と大きくかかわり合い、特に中国東北地方には爪跡も残してきました。こうしたことからも中国に貢献したい、中国に役立ちたい、との想いがありました。クリスチャンですので、そんな気持ちになったのかも知れません。

 退職後に大連に来てからは大連ソフトウェアパークに入社されて日本企業の誘致に尽力されました。以来、大連のIT分野における日本人の代表的存在ですね。

 代表的存在なんてとんでもありません。歳が上だからそんな風にも見られるのでしょうね。ただ、日本で中国側主催の誘致会議が開かれたとき、司会役をやらされました。司会は日本とは違って幹部の役割で、異例のことでした。ソフトウェアパークに務めたのは、大連外国語学院で1年間の日本語教師を経た2002年から退社した昨年春までで、入社当初は1、2号館だけで、一帯は閑散としていました。それがいまでは28号館まであり、世界的な企業が続々と入居しています。感無量の光景ですね。

 「大連の春」には大連での山登りや歌声のサークル、大連ITクラブの活動なども記載され、大連を愛する三上さんの気持ちが伝わってきます。最後に大連へのメッセージをお願いします。

 新しく来る日本企業は大連のIT業界に対して誤解しているところがあります。人材面からもう限界に達しているのではないかと。ところが以前のソフトウェア開発中心から、BPO業務や動画・漫画・アニメーションにまで広がり、理系・文系・芸術系と全市民が参加できるIT産業として大連市が供給を大幅に増やしていて、人材も豊富なのと、駆け出しの人材から高級人材からまで裾野が広いのが大連の特徴なのです。ですから大連のIT業界はまだまだ発展の可能性を秘めています。こうした大連のIT産業とともに、「大連はとても楽しいところなんですよ」ということを、12篇の詩も挿入したこの本を通して知っていただければと願っています。

【経歴】
 1941年、東京都中野区生まれ。3歳から長野市に疎開し、6歳のときに東京へ戻る。国際基督教大学を卒業後、IBMに入社して定年退職するまでの36年間、日本、米国、台湾で勤務。2001年9月に大連外国語学院日本語教師となり、翌年から大連ソフトウェアパークに勤務し、昨春から現職。著書は「電脳外国語大学」(技術評論社)など3冊。

【取材を終えて】
家族と仲間、中国への愛
 三上吉彦さんとは10年来のお付き合いをさせていただいている。特に共通の仲間である岡田稔さんと3人で、大連の山を片っ端から上ったのも懐かしい思い出だ。国際派の三上さんらしく、日中に加えて欧米、韓国と会員は多国籍に広がり、楽しい交流が続いた。
 「大連の春」にはIT関連だけでなく、こうした趣味や中国各地への旅行記も掲載され、中国暮らしのハウツー本にもなっている。家族と仲間を愛し、中国が大好きな三上さん。本書からはそんな三上さんの想いがストレートに伝わってくる。
猪瀬 和道
【入手方法】
 日本の各書店で注文取り寄せができ、ネット販売のアマゾンでも購入可能。大連では「永東書店」(電8259−4115)で取り扱っている。

この投稿は 2013年4月17日 水曜日 7:55 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

コメント / トラックバック6件

  1. 刘亿 より:

    这本书三上先生写了从小时候到晚年的生活和工作点点滴滴,折射出自己一种人生价值观,很多值得学习地方,这本丰富心路历程体验书值得一读!

  2. 李玲 より:

    能感觉到三上一直有一颗年轻美好的心,对自己事业和对中国对大连的喜爱,三上先生一直努力为大连外包产业做贡献,让我打心底佩服。我常常拿三上先生的故事来告诉我的父母不要输给年龄,只要有兴趣多尝试多接受新鲜事物,永远都年轻。谢谢三上先生带给我们正能量

  3. 很感谢上帝的安排,让我能够有机会认识三上老师。他是一位很谦卑、很有智慧,很有爱心的学者。我们都很羡慕三上老师的经历,作为一个基督徒,在职场用自己的行为和经历展示了不平凡的阅历,同时非常巧妙地用三国语言记录下来了所见所感,供更多的人学习借鉴。我的学生们也非常喜欢《大连之春》这本书,更喜欢其中的三上老师,他已经成为了想在IT领域发展的学生们的导航者。
    愿三上老师身体健康,童心不老,给我们分享更多的美好。 期盼三上老师再出新书。

慶次郎 にコメントする

掲載日: 2013-04-17
更新日: 2013-04-18
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