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大連市朝鮮族企業家協会常務副会長兼秘書長 大連富麗華国際旅行社有限公司総経理 金 春日さん

金 春日さん

民間パワーで目指す極東交流

 朝鮮族の人たちが数多く住む中国東北地方。中でも大連は経済活動の中心でもあることから、遼寧省だけでなく吉林、黒竜江省からもたくさんの朝鮮族の人たちが集まり、中国国内とともに北朝鮮、韓国、日本との経済交流も活発に行っている。朝鮮族の企業経営者らで構成する大連市朝鮮族企業家協会の副会長兼秘書長を務める金春日さんに設立経過や今後の活動などについて聞いた。

――大連市朝鮮族企業家協会は昨年6月に結成されましたが、まずは成立の経過をお聞かせ下さい。

 「大連の経済発展とともに東北地方に住んでいる朝鮮族の人たちがここに集まり、その数は5、6万人といわれています。しかし、ほとんど交流がなく、だれがどこで、どのような経済活動をしているかもわかりません。そこで大連にいる朝鮮族のみなさんに呼びかけて協会を発足させ、まずは経済交流を深め、情報交換しようということになったのです」

――どのような方が会員になっているのでしょうか。

 「現在の会員は中小企業を中心とした約80社。多くのメンバーが日本や韓国、北朝鮮とのパイプを持ち、それぞれがビジネスを展開しています。昨年6月の結成以来、今後の活動について話し合っていますが、まだ対外的にほとんど知られていません。そこで今年6月には遅ればせながら設立式典を開催する計画です。それまでに会員を200社に増やしたいと思っています」

――協会として日本や韓国、北朝鮮とどのような関係を築いて行くのでしょうか。

 「中国の朝鮮族は、韓国、北朝鮮と民族は一緒かもしれませんが、まずは中国人であるという大前提があります。中国の朝鮮族は韓国、北朝鮮と違った文化を築き上げてきました。これに地理的にも経済的にも関係の深い日本を加え、微妙なバランスをコントロールしながら、それぞれの国と上手にお付き合いして行きたいと思っています。中国と日本、韓国、北朝鮮の将来に向けた接着剤的な役割を果たせるのは、私たち朝鮮族ならではとの意識を持っているのです」

――北朝鮮は韓国、日本と緊張関係にあり、政治的にも難しい問題がありますね。

 「北朝鮮は経済面での立て直しが急務で、指導者たちも体制を維持しつつも改革開放をしたいと考えているはずです。その一方で国際的な立場に危機感を持ち、不安感を抱いていると思います。この北朝鮮を追い込んでしまうのは得策ではないような気がします。まずは経済面から交流を始め、それが他方面にわたる友好関係に結びつけばと願っています」

――ところで金さんの日本語は完璧ですね。まるで日本人と話しているようです。

 「日本語は中学生の時から学んできました。当時、朝鮮族の外国語学教育は日本語だけでした。今でこそ英語が主流になっていますが、選択の余地はなかったのです。しかし、日本語が好きだったので、大学は日本語を専攻しました。その後も遼寧省外事弁公室国際交流センターで日本の政治、経済団体の受け入れ業務もしましたし、今の会社も日本と中国を結ぶ旅行業務です。日本とは切っても切れない関係にあります」

――その観光ですが、中国側にとって日本との旅行ビジネスはいかがでしょうか。

「私の仕事から言いますと、主に日本からのお客様を受け入れるインバウンドが中心ですが、金融危機以来の日本経済の低迷によって、安い商品しか売れなくなっています。大勢の観光客は来ていますが、利益が薄く厳しい状態が続いています。その一方で中国人が日本へ行くアウトバウンドのマーケットが大きく広がっています。しかし、企業間競争も激化しています。どこまで日本を理解して、魅力のある商品をプランニングできることが問われています」

――魅力ある商品とは具体的にどのようなものでしょうか。

 「日本人を迎えるインバウンドでは、単純な観光地巡りではなく、例えば企業視察を織り込むとか、山登りツアーなど個人の好みに特化したプランです。北朝鮮ツアーもそのひとつでしょう。中国人が日本へ行くアウトバウンドでは健診やゴルフ、温泉、和食グルメなど中国では体験できないツアーが求められています」

――話は朝鮮族企業家協会に戻りますが、最後に当面の目標をお聞かせください 。

 「先ほど言いましたように、協会の存在を認知していただくためにも設立記念式典の開催に向けて準備を進めています。内部的にはサービス業分会や文化体育分会などの分会組織をつくり、より専門性を高めたいと考えています。また、大連日本人商工会や韓国人会、台湾人会、温州商工会などとも連携を深めたいと思っています」

【経歴】
金 春日さん
 1968年、瀋陽市生まれ。遼寧大学日本語学科卒業後、遼寧省外事弁公室国際交流センターに入所。2000年末に同センターを退職して大連の旅行会社に勤務し、2002年に独立して大連富麗華国際旅行社を設立した。会社経営の一方で昨年6月に大連市朝鮮族企業家協会を設立、常務副会長兼秘書長として活動を続ける。富山県にゆかりのある中国人で結成する富山ファンクラブのメンバーでもある。
【インタビューを終えて】
意義深い活動に声援
 瀋陽から大連に生活の拠点を移して今年で10年になる金春日さん。だが、私の印象では「そんなに短かったの」というのが本当のところだ。旅行会社を経営していることもあってか、大連の中でも知名度が高く、日本人にも知る人は多い。もう何十年も大連に住んでいるように思えるのは、この地に根付いている証だろう。さらに朝鮮族の企業家を組織化し、民間の立場から中国と日本、韓国、そして北朝鮮との架け橋役を担おうとしている。朝鮮半島が緊張状態にあるだけに、金さんらの取り組みの意義は深い。

猪瀬和道

  在中国东北居住着很多朝鲜族人,其中作为经济活动中心的大连,更是聚集了不止辽宁省,还有来自吉林,黑龙江省的朝鲜族人。无论是在中国国内还是和北朝鲜,韩国,日本经济交流方面都很活跃,在此采访了由朝鲜族企业经营者构成的大连市朝鲜族企业家协会的副会长兼秘书长今春日先生有关协会成立经过和今后的有关活动等。

この投稿は 2011年3月30日 水曜日 5:49 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2011-03-30
更新日: 2014-09-23
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