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大連テレビ局 編集兼制作監督 映画監督 張 偉さん Zhang Wei

大連テレビ局 編集兼制作監督 映画監督 張 偉さん Zhang Wei
張 偉さん

「映画を撮り始めたのは、運命の巡り合わせ。日本語の短編作品『明日航班』では、映画祭にも出品したいと思います」

 日本人4人も参加した日本語短編映画『明日航班』が完成し、今は試写会を待つ段階となった。大連を舞台に、初恋の淡い思い出を描いたこの作品。メガホンを取ったのは張偉さん。張偉さんに、映画や『明日航班』について聞いた。
 『明日航班』の主なスタッフは、次の通り。(敬称略)
 【監督・脚本・制作】張偉【主演】松永雄亮、伊藤貴恵、浦上早苗【メイク】高木妙子【翻訳・通訳】李良子、王豪、邢怡【撮影】陳里尼【プロデュース】趙晶【音楽】劉棟

 映画を撮り始めたきっかけは、何だったのでしょうか。

命の巡り合わせだったと思います。私の初監督作品は、2003年に完成しました。そのころ、「なぜいつも他人の映画ばかりを見ているのか。自分たちでも映画を作ろう」という書き込みが、インターネット上に出回っていました。その後、この書き込みを見た有志が集まって、映画を撮ることになりました。

 その時、監督を任されたのですか。

志は集まりましたが、ちょうど脚本家と監督がいませんでした。そこで、それぞれが脚本を書いて、一番良い脚本を映画にしようという話になりました。その結果、私の脚本が選ばれ、「張偉の脚本だから、張偉が監督も」ということで、私が監督になりました。とは言っても、試行錯誤の手探り状態でした。

 第一作目の感想は、いかがでしたか。

も忘れがたい作品が第一作目という監督は多いかもしれませんが、私は違います。第一作目には、最も不満が残っています。経験や資金やスタッフなど、不十分な面も多かったのですが、悔しくて、撮り終わった後、いろいろと勉強しました。

 では、最も印象に残っている作品、忘れられない作品は何でしょうか。

2005年3月に完成した2作目の『一張假幣』(1枚の偽札)です。作品はインターネット上で公開しましたが、想像以上に反響が大きく、テレビ局や映画関係者の方々から問い合せがありました。最初は、詐欺の電話かと思っていました。

 その後の展開は、どうだったのでしょうか。

時、中国中央テレビ局の映画チャンネルに、「愛拍電影」という映画の番組があり、その番組から取材を受けました。自分の作品が認められ、とても励まされました。番組への出演を通し、映画に携わる方々と交流できたのも収穫でした。

 さて、『明日航班』ですが、なぜ日本人の主演で、日本語の映画を撮ろうと考えたのでしょうか。

ず私自身、日本映画や日本文学が好きです。日本の作品は、自分の志向や好みと合っています。『明日航班』も、日本の小説から着想を得て、脚本を書きました。脚本は何年も前に完成していたのですが、日本人の主演にこだわり、出演者がなかなか見つからず、撮影できずにいました。

 監督ご自身の『明日航班』への評価はいかがですか。

には、好きな自分の作品がありません。作品を撮り終えると、次はもっと良い作品を撮りたいと常に思っています。『明日航班』も例外ではなく、完全に満足しているわけではありません。十分な事前打ち合わせができなかったことなど、悔やまれる点はあります。

 『明日航班』が完成した今、今後の予定は。

画祭に『明日航班』を出品したいと考えています。インターネット上で公開する予定はありません。『一張假幣』はインターネット上で公開しましたが、今は考えが変わり、その様な公開方法に意義はないと感じています。試写会などは、開けたら良いと考えています。やはり、顔の見える関係、直接語り合える関係を大切にしたいと思っています。

 最後に、これまでの映画人生を振り返って一言。また、今後の構想などをお聞かせください。

画を撮り始めたころは、資金も人脈も何もなく、ただ情熱だけ持っていました。第一作目の失敗と、その悔しさが、転機だったと思います。私がこれまで撮影したのは、全て短編映画です。ですので、これからは長編映画を撮りたいと思っています。長編の脚本も、既に何本か完成しています。早ければ来年、初の長編作品に取り掛かります。

  由4名日本人参演的日语短片电影《明日航班》拍摄结束,现在在等待试映会的举办。这是一部以大连为舞台,描绘淡淡的初恋回忆的作品。担任导演的是张伟先生。这次,我们向张伟先生采访了电影的相关事情。
  “我喜欢日本的电影和文学作品,从日本小说里面得到灵感,然后写了《明日航班》的剧本。由于执着于日本人主演这一原因,找不到演员,导致拍摄迟迟不能开始。现在我想让《明日航班》这部电影参加电影节。迄今为止,我的作品全部是短篇电影,以后准备拍摄长篇电影。电影的剧本已经完成了,早一点的话,明年就可以投入拍摄了。”

【経歴】
1980年、大連市西崗区に生まれる。遼寧師範大学で法律と中国文学を専攻。卒業後の約1年間、撮影技術などを学び、2003年に大連テレビ局へ入社。2005年に発表した2作目の短編映画『一張假幣』(1枚の偽札)が評価を受け、中国中央テレビ局で取り上げられる。大連テレビ局の編集兼制作監督を務めるながら、精力的に映画制作も続けている。

インタビューを終えて
温かな人柄と映画への情熱
 「作品を撮り終え、制作チームが解散すると、いつも寂しさを感じます」と、張偉さんは言う。この想いは、『明日航班』では特に強いと話してくれた。制作に関わった日本人4人のうち、3人は大連を離れてしまったそうだ。「もう会えないかもしれない」とも、寂しそうに語る。
 人とのつながりを大切にする温かい人柄を、張偉さんから感じた。『明日航班』の今後の展開、そして初の長編作品に、期待したい。そして私自身、映画という芸術に、改めて向き合ってみたいと思った。

武井 克真

この投稿は 2015年11月25日 水曜日 5:42 PM に Whenever誌面コンテンツ, 巻頭インタビュー カテゴリーに公開されました。

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掲載日: 2015-11-25
更新日: 2015-12-18
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