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「民間交流を通した相互理解を深めることが大切で、ウォーキング交流は大きな役割を果たしています」

　アカシアの花咲く５月の大連を華やかに盛り上げる大連国際徒歩大会が、今年も17、18日に星海広場と金石灘の２会場で開かれる。日本をはじめ、世界各国からウォーキング愛好者が参加し、友好的な雰囲気に包まれる。この大会を主管する大連市徒歩協会副会長兼秘書長の鄭全肅さんに、大会の果たす役割などについてインタビューした。（関連記事は13ページ）

　今年も恒例の大連国際徒歩大会が５月17、18日の２日間にわたって開かれます。国内外から大勢のみなさんが参加して、ウォーキングを通した交流が繰り広げられますね。

　そうですね。大連の徒歩大会は今年で12回目を迎え、「健康、和平、交流」をテーマにして、主会場の星海広場周辺と分会場の金石灘で開かれます。中国国内では最も歴史があり、参加者も多い最大規模のウォーキング大会です。２日間で最低でも20万人もの市民が参加し、コースとなる道路は、楽しそうに歩く市民の姿で埋まります。

　国際大会だけに、海外からの参加者も多いのでしょうね。

　毎年、10数の国と地域から大勢のウォーキング愛好者が参加します。すでに、ベルギーとポーランドから合わせて58人の申し込みがあったほか、オーストラリアからも36人がエントリーしています。日本と韓国は近いので、これから続々と申し込みがあると思います。

　国際都市・大連にふさわしいイベントに育ちましたね。

　この大会は2003年９月に第１回が開かれ、その後は４、５月に開催されるようになり、2005年には国際ウォーキング連盟の認定を受けました。元々は、日本ウォーキング協会の指導を受けてスタートしましたので、日本とは深い関係にあるウォーキング大会なのです。中でも福岡県ウォーキング協会とは友好関係にあり、「東亜之花」として、３月にアブラナの花咲く韓国の西帰浦、４月にツツジの花が咲く福岡県の久留米市、５月にアカシアの花が咲く大連で、国際ウォーキング大会を開いて交流を深めています。

　大連では海外参加のみなさんを歓迎するパーティーも開かれていますね。

　大会前日には大連市長が各国のリーダーと会見し、夜は約200人が参加して歓迎パーティーが開かれています。会場は、国際大会にふさわしい友好的な雰囲気に包まれます。

　ところで鄭さんもウォーキング愛好者だったのでしょうか。

　本当のことを言いますと、運動は好きではありませんでした。大会でもしばらくは管理、運営に専念していましたが、３年ほど前から参加するようになり、２日目の金石灘コースを歩いています。今では毎晩、約１時間20分かけて家の近くを歩くことが、日課となっています。それも、なるべく早足で歩くようにしています。以前は、血圧が高かったのですが、歩き始めてから正常になり、ウォーキングが体に良いと身を以て実感しました。

　ウォーキングを通した日中交流が盛んだと思いますが、日本には何回ぐらい行かれましたか。

　甘井子区政府に勤務していた時、女性の訪日団を結成して訪れたことがあります。その後も久留米市でのウォーキング交流や観光などで、10回ほど訪れたでしょうか。日本を訪れる度に感じるのですが、街がきれいで、日本人のみなさんは礼儀正しくて、友好的ですね。そんな日本が好きです。

　日中関係は政治的には難しい問題を抱えて、ぎくしゃくとした関係になることもしばしばですが……。

　確かに政治的には難問が立ちはだかっています。しかし、このような状況下にあるからこそ、民間交流を通した相互理解を深めることが大切だと思います。ウォーキング交流は中日友好に大きな役割を果たしています。

【経歴】

　大連市生まれ。大学卒業後、凌水鎮の教育、婦人業務に携わり、同鎮婦聨主席を経て、甘井子区政府の婦聨主席、計生局局長などを歴任。2006年から大連市徒歩協会の副会長兼秘書長。

【取材を終えて】

柔らかな物腰で国際交流
　長年にわたって政府関係の業務にあたり、現在も徒歩協会の要職にあるだけに、硬いイメージをもって鄭さんのインタビューに臨んだ。ところが終始、笑顔を浮かべながら、質問に丁寧に答えていただいた。
　その柔らかな物腰は、「民間交流が大切」という言葉に裏付けられている。これまで何度も日本を訪れ、ウォーキングを通した友人も多いと言う。同じ舞台で感動を共有することが、相互理解の早道なのかもしれない。今年もまた、大連の街でウォーキングを通した微笑ましい国際交流の光景が広がることだろう。
猪瀬　和道